サルでもわかる老子・荘子

『荘子』『老子』をおもしろ・おかしくお伝えします

【荘子】逍遥遊(第三回)

ところでさぁ
我々の周りには空気っていうものがあるよね。


あの超巨大な鵬(ほう)を
天高くまで舞い上がらせたのも
空気があったればこそだ。


でもさぁ
目にも見えないような
細かい塵(ちり)や埃(ほこり)が
舞い上がるのも
空気があったればこそじゃない?


そう考えると
超巨大な鵬(ほう)が
天高くまで舞い上がったからといって
実は
それほど驚くようなことではないのかもしれないね。


超巨大な鵬(ほう)が舞い上がることも、
超微細な塵(ちり)や埃(ほこり)が舞い上がることも、
自然の摂理からすると
どちらも
けっこう当たり前のことなのかもしれないね。


そういえば、
我々 生きとし生けるものが
息をするために使っているのも
鵬(ほう)や塵埃(ちりほこり)を舞い上がらせたものと同じ、
空気なんだよね。

【荘子】逍遥遊(第二回)

昨日の話はどうじゃった?
面白かったじゃろ?
ええ? わしの作り話じゃないかって?


つまらんことを言うやつじゃのう。
そんなもん どうでもええじゃないか。
嘘の話を聞いてもしょうがないって?


しかたのないやつじゃなぁ・・・。
う~ん・・・。 わかった。


少なくとも わしの作り話ではないことを証明してやろう。


ここに齊諧さんという人が書いた本がある。
齊諧さんとは 不思議な話をたくさん書いた えら~いお人じゃ。


ほれっ 見てみろ。
彼の本にも 書いておるじゃろうが。


「鵬(ほう)が
この世界の南の果てに向かって
飛び立とうとするときには、


巨大な翼で水を打つこと三千回にして、
ようやく 巨大なつむじ風を引き起こすことができる。


鵬(ほう)は そのつむじ風に乗って、
天高くまで上昇するのだが、
その際 さらに多くの労力を必要とする。


天高くまで上昇した後、
鵬(ほう)は最北の地を離れて
南に向かって移動を開始する。


そうして
半年間
南に向かって飛び続ける。


鵬(ほう)は
そこで ようやく
一休みするという。」

【荘子】逍遥遊(第一回)

この世界の北の果てには 不思議な海が広がっていて、
そこには超巨大な魚がおるそうじゃ。
超巨大な魚は鯤(こん)と呼ばれておるが、
鯤(こん)とは なぜか魚の卵を意味する言葉らしい。


鯤(こん)の巨大さといったら
信じられんことに
日本列島を上回るほどやもしれない。


やがて鯤(こん)は変化して、
今度は超巨大な鳥になるという。
鳥になると 鵬(ほう)と呼ばれるようになるんじゃと。


鵬(ほう)の巨大さも
日本列島を上回るほどやもしれない。
とてもじゃないが その頭から尾までを一度に見た人はおらんじゃろ。


鵬(ほう)は水面に出ると 巨大な翼(つばさ)で何度も水を打ち、
風を起こして その巨大なからだを宙に浮かせる。
そうして 空に向かって飛び上がっていく。


鵬(ほう)が 南に向かって 空を飛んでいる姿は
大空を覆いつくす雲のように見えるらしい。


鵬(ほう)は 住んでいた北の海が変化したから
自分自身も形を変えて、
今度は この世界の南の果てまで 飛んで移動するそうな。


この世界の南の果ては 人の手がまったく入らない神聖な場所らしい。