サルでもわかる老子・荘子

『荘子』『老子』をおもしろ・おかしくお伝えします

【荘子】逍遥遊(第八回)

一つのことだけ知っているものと
百のことを知っているものとでは
住む世界が違うと思わんか?


一日だけ生きるものと
百年生きるものとでも
住む世界が違うと思わんか?


わしが何を言おうとしておるのか
わかるかのぉ?
もう少し 説明してみようか。


一日しか生きられないキノコは、
当然、
この世には一ヶ月という期間があることを知らんわな。


夏にだけ地上を飛び回り、秋には死んでしまう
セミは、
この地上には夏以外に、春と秋があることを知らんわな。


以上が
一日だけ生きるものの
住む世界じゃ。


中国の江南地方には、
恐ろしく長命な木があるらしいが、
そいつの考える一年と
わしらの考える一年とは
同じものだと思うか?
おそらく、
わしらの千年から二千年が
ようやく そいつの一年にあたるのじゃろ。


大昔には、
もっと とんでもなく長命な木があったらしいぞ。
そいつの場合は、
わしらの考える一万年から二万年を
一年と考えておったんじゃなかろかのぉ。


以上が
百年生きるものの
住む世界じゃ。


さて、
わしが生きた古代中国には、
700歳越えの長寿の老人、
彭祖(ほうそ)さんというかたが
世に知られておった。


わしは、よく、当時の中国の人たちの口から
「彭祖(ほうそ)さんと比べると、
自分は せいぜい100年しか生きられないのかぁ・・・」
と不満をもらす声を聞いたもんじゃが、
それを聞くたびに、
わしは 悲しい気持ちになったのぉ・・・。


なぜ わしが悲しい気持ちになったのか わかるか?
少しでも わかってくれたのなら、
今日、頑張って 話した甲斐(かい)があるというものじゃ。

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