サルでもわかる老子・荘子

『荘子』『老子』をおもしろ・おかしくお伝えします

【荘子】逍遥遊(第六回)

鵬(ほう)の話を耳にした
セミや小鳥は、
笑わずにはおられんかったそうじゃ。


「え~、うそでしょ(笑)


ボクなんかさ、
いち・に・の・さんっと
気合を入れて 飛び上がっても
すぐに 木の枝か 何かに ぶつかって
地面に落っこちてしまうってことが
ほとんどだよ。


鵬(ほう)さんは ほんとに 大変だね(笑)


そんなに天高くまで 飛び上がって
それから また
南に向かって 飛んでいかないといけないの?


でも、なんで そんなに大変なことを
するの?


ボク とても 信じられないよ(笑)」

【荘子】逍遥遊(第五回)

水はのぉ、
様々なものを その上に浮かべることができるが、
水の深さが十分になければ、
大きな船を その上に浮かべることはできない。


たとえば、
庭先の地面の小さなくぼみに
コップ一杯ほどの水を入れるとしよう。
その上に 茎や草のきれはしを置くと どうじゃ?
茎や草のきれはしは まるで船のように
水の上に浮かぶことができるじゃろう。


ところがじゃ、
茎や草のきれはしではなく、
コップそのものを その水の上に置くと どうじゃ?
コップは 水の上に浮かばずに
水底の地面についてしまうじゃろう。


コップを浮かべるには
水の深さが足りんからじゃ。


同様にじゃ、
空気の層の厚さが十分になければ、
鵬(ほう)のような巨大な生物を
その上に浮かべることなど
とうてい できない。


だから 鵬(ほう)は
まず 天空の はるかかなたまで上昇する必要があるのじゃ。


天空の はるかかなたまで上昇したら、
鵬(ほう)は そこではじめて
様々な制約から解放され、
まったく自由に行動できるようになるのじゃ。


鵬(ほう)が南に向かって移動するのは、
それからのことじゃよ。

【荘子】逍遥遊(第四回)

空を見上げれば、
空は青い色をしておるように見えるが、
これは はたして 本当の色を見ておるのじゃろうか?


あまりにも遠くのものを見ておるのじゃから、
どこが近くで、どこが空の果てであるのかなど、
見分けられる者がおるわけあるまい。


同様にじゃ、
鵬(ほう)も 
天高くから地上を見下ろしておるのじゃから、
どこが高い山で、どこが低い谷であるのかなど、
おそらく ぼんやりとしか見分けられてはおるまい。


人はなぁ、
自分だけは なんでも正しくものを見ているように 
つい思いがちであるが、
わしも おまえさんも、
案外 相手のことを 何もわかっておらんのかもしれないよ。